[マンガ] 冠茂氏のツイートからサンデー編集部の現状を推測する
わりと有名なサンデーの編集者である冠茂氏が珍しくツイートしていました。
一般の方々に一番わかっていただけていないのは、単行本の売れ行きやアンケートが悪いと作家が困るだけでなく、編集も強く追い込まれるということですね。サラリーマンなんだから関係ないだろうと言われるかもしれませんが、それは会社をクビにならないという意味でしかありません
― 冠茂 (@047450) 2014, 2月 2
一般社会では、多くの編集が嫌々漫画編集者にさせられているなどという明らかなウソも耳にしますが、そんなことは今の役員クラスが新入社員だった時代にあったかないか程度の話です。多くの漫画編集者にとって漫画を外されるのは会社をクビになるのと変わりません
― 冠茂 (@047450) 2014, 2月 2
もっと言えば漫画の仕事ができないなら別の会社に行く、というくらいの気概がある人間がほとんどです。しかしながら全員の希望が叶うことはないですから誰かは異動しなければなりません。では異動させるかの判定をどうするかといえば、どうしても担当作のアンケや単行本の売り上げを見ることになります
― 冠茂 (@047450) 2014, 2月 2
自分で担当作を立ち上げ、初期にアンケが極端に悪く、まして単行本も売れないとなれば大変です。なんとかして軌道修正しなければ、作品は打ち切り、自分自身も異動です。しかも、上司や先輩に校了で怒られっぱなしという話になりますから。ええ、私もそりゃあ時には後輩に怒ったりしますよ。ごめんね
― 冠茂 (@047450) 2014, 2月 2
好き好んで漫画家と喧嘩したい奴はおりません。一般社会でわざわざ取引先と喧嘩する人がいないのと同じですし、誰とだって喧嘩なんかしたくないのが人間本来の感情でしょう。かといって我々は面白い物を読者に提供するのが仕事、アンケや売上げは無視できません。読者こそが一番偉いんです
― 冠茂 (@047450) 2014, 2月 2
要するにお客様(読者)は神様ってことなんです。そこを理解してくださらないと揉めてしまいます。作品を続けたい作家の気持ちと漫画の仕事を続けたい編集の想いは同じ。ですが、神様である読者の方々はそれを許してくださらないことがあるんです。これはもうどうしようもないことだと私は思います
― 冠茂 (@047450) 2014, 2月 2
珍しく冠氏のツイートを見たのでRTしつつツイートしたら冠氏からリプを頂いた。
どうなると(どこまでやらかすと)漫画を外されるのかは気になる所だ。 >RT
― きとさん (@kitori_jp) 2014, 2月 2
@kitori_jp お答えしましょう。一般の会社の評価基準と同様です。担当作品の成績が悪いことや、原稿を無くすようなミスも当然対象です。それが事実であり、かつ誰が無くしたか判明すれば一発です。作家と揉めるのも勿論ダメです。ですが、その場合は両者の言い分を聞いて判断されます
― 冠茂 (@047450) 2014, 2月 2
@kitori_jp 過去の経緯から、相手の方が精神を病んでいることが明らかだったり、病んでいなくても性格上、誰とでも揉めてしまうような方であれば、責任を問われることはないでしょう。しかし、そうでない場合は大変なことになりますね
― 冠茂 (@047450) 2014, 2月 2
@kitori_jp ある意味、数字が全てです(笑)しかし一般企業と同じですよ。どれだけ売り上げの高いセールスマンがいたとしても、お客さんや取引先としょっちゅう喧嘩していたら問題になりますよね?重要書類を紛失しても、そりゃあ問題になります
― 冠茂 (@047450) 2014, 2月 2
冠氏のツイートからわかること。(サンデー編集部内の周辺と推測)
・アンケ、コミックス売り上げなどの数字は作家だけでなく編集にも影響する。
・原稿紛失などの重大なミスは異動の対象。
・漫画編集者は漫画がやりたくて編集部にいる人がほとんどである
・編集の評価は一般企業の評価基準と同様である
・人間関係を良好に保てない人は評価が下がる
・売り上げよりも素行や人間関係が重視される
・担当作を立ち上げて初期からアンケが悪く、コミックスも売れないケースはある
大体こんなところが読み取れる。
原稿紛失は一般企業で言えば会社に損失を与えるレベルの行為なので罰せられて当然と言えるが
意外な部分は
「一般の会社の評価基準と同様」
「どれだけ売り上げの高いセールスマンがいたとしても、お客さんや取引先としょっちゅう喧嘩していたら問題になりますよね」
ここである。
一般の企業の評価基準というのは、会社の意向に沿い、決められた仕事をこなし、人間関係を無難にこなす毒にも薬にもならない人材が長生きする組織である。(個人的見解)
自分のロジックを押し通し数字と実績を持って反対意見を蹴散らし結果を叩き出すタイプの人材は疎まれて遠ざけられるか、足をひっぱられるか、自ら去っていくのが常である。もちろん頑固なだけで才能がないただのワガママな人な場合もある。(個人的けんk(ry)
ただ、デキるタイプの人は漏れなく後者で、人と衝突する事を恐れない(というか往々にして頑固)。
ゆえに冠氏の話には、尖った人材はサンデー編集部にはいないか、短期で異動させられてしまっているのではないかと推測させるものがある。
「アンケも売り上げも悪いけど作家との関係が良好な編集」と「売り上げが良くて作家と衝突する編集」では前者が生き残る評価基準のように見えるのだ。
考えすぎだとは思うのだが、その結果が現状のサンデー誌面とすると納得できるだけに困惑を隠せない。
最近サンデーで売れたと言えば銀の匙、マギ、神のみぞ知るセカイであるが、それらは他社から移籍してきた石橋氏が引き抜いた作家だったり担当していたりする作品だ。
裏サンデーを立ち上げるなどの動きを見ても「攻める」タイプの人であるのが感じられる。
(コミックナタリーの記事→ http://natalie.mu/comic/pp/urasunday)
小学館生え抜きはどうしたと突っ込まれかねない状況である。
イチ読者として言うのであれば、「作家と編集がケンカしようが仲良かろうがおもしれーもん作ってくれたら文句ねぇよ」という事にはなるのだが、
どうもサンデー編集部の価値基準はそうではないらしいので、制作側と読者の間に溝ができつつあるんじゃないかと想像してしまう。
あくまで冠氏のツイートからの推測でしかないので実情はわからないが、サンデーには期待を込めて「もっと攻めて欲しい」とエールを贈りたい。